HOME、もくじ   樹木名一覧  葉の図鑑  花の図鑑  実の図鑑
 画面の文字が小さいときは、メニューバー>表示>文字のサイズ、で文字
 を大きくしたり、または拡大レベルを125%にあげるなどしてご覧ください。


アラカシ  粗樫

ブナ科コナラ属
学名:Quercus glauca
別名:クロガシ、アオカシ、ナラバガシ   
葉 どんぐり(果実)

  学名のQuercusはナラの木を指す。種小名のglaucaは帯白色の、青みがかった灰色の意。

  和泉山脈の低山でもっとも多く見られるカシがアラカシで、こどもたちが公園で拾うドングリのなかでもっとも多いのもアラカシであろう。山野および公園ではアラカシとシラカシの両方ともよく見るが、葉だけではどちらか区別がつかないときがある。堅果(どんぐり)を見ることができれば両者の区別はわりあい簡単である。下記の区別法でほぼクリアーできるはずだ。堅果(どんぐり)だけで見分けにくい時は、葉のようすもあわせて検討すれば確実だ。

  「カシ」は「かたし」のことで、堅い木を表す。樫の字は、材がかたい特徴から我が国で作った国字である。材は、以前は器具、車両、舟の櫓などに用いられたというが、現在はシイタケ栽培に利用されることが身近な利用法であろう。
  庭園などで「ボウガシ」という樹名札を見ることがあるが、これもアラカシで樹形を庭木用に仕立てたものである。

  岸和田市では丘陵から山地でふつうに見る。市街地では公園に植えられることが多く、民家の庭木や生け垣として目にすることも多い。市街地の公園などでアラカシのどんぐりが熟して地面に落ちるのは11月ぐらいだ。マテバシイなどはそれよりも早く9月下旬には落ちはじめる。

  雌雄同株、 雌雄異花。



Q.アラカシのドングリは食べられるか?
         Yes

  ドングリのなかでもクリマテバシイスダジイなどは渋みの素であるタンニンの量が少ないので生でも食べられるほどで、縄文時代の人々の重要な食糧だったと言われるが、アラカシの果実はスダジイの50倍ほどもタンニンを含むので水にさらしてアク抜きをしないと食べられないそうである。
  四国山地で救荒作物として伝えられた「かしきり」が、アラカシの果実を利用した食物である。「かし豆腐」とも言うそうだ。飢饉に備える必要もない現在では、郷土料理、お土産として生産されているようである。
  また韓国の「トトリムック」もアラカシのドングリを使った食品であるが、これが豊臣秀吉の朝鮮出兵をとおして日本に伝わったのが「かしきり」の由来とも言われている。


クリックすると、写真と説明にジャンプします。

樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

堅果(どんぐり)の先によるアラカシとシラカシの区別

樹形  常緑高木。高さ20mになる。
公園の植栽

地蔵浜町
浜工業公園で
2007.6月
公園のアラカシ
自生のアラカシ(中央の木)

幹がまっすぐな左の木はスギだ

大沢町シガ谷で
2007.6月
自生のアラカシ
親のアラカシの下に落ちた果実から発芽したばかりの幼木

成木にまで育つ個体は少ない

地蔵浜町
浜工業公園で
2008.7月
発芽したばかりの幼木
上に同じ
発芽したばかりの幼木
   環境  雑木林内、照葉樹林内。
         公園樹、街路樹や生け垣として植えられる。
   雌雄同株、 雌雄異花。 花期:4〜5月
新枝の上部に雌花序を直立し、雌花が数個つく。
新枝の下部から雄花序が下垂する。
   雌花
   雌花序
(赤くみえる)

雌花序は新枝の上部につく

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.4月    
雌花序は小さい
雌花序
(赤くみえる)

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月   
雌花序
雌花序
(赤くみえる)

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月 
雌花序
雌花序

黄緑色の扇風機の羽根のようなものは柱頭

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月      
雌花序
上の写真から経過した雌花
もう果実に育っている

4月下旬
雌花

  雄花
雄花序が目立つ
雌花序はこの距離からは見えない

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
雄花序
雄花序

これから伸展する

4月
雄花序
雄花序

上の状態から長く伸びた

4月
雄花序
伸展した雄花序

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
雄花序
花粉を飛散する前の雄花
葯の色はまだ白っぽい

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
雄花
雄花

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
雄花
開花したこの雄花序は上を向いていた

4月
開花した雄花序
  互生。    
葉身の長さは約10cm、倒卵状長楕円形で革質。先はすこし尾状に突き出すことが多い。葉の表面は光沢があり、裏面は粉白色だが褐色の絹毛の多い時期には金色に見えることがある。葉柄は約2cm。上半部に鋸歯がある。まれに全縁の葉があるという。
葉の表

9月
葉の表
葉の裏

9月
葉の裏
葉の裏の絹毛は遅くまで残る場合がある

12月
葉の裏の絹毛
展開時の新葉は
赤く美しい

3月 
新芽
新葉の裏面
絹毛が密生する

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月 
新葉の裏面は絹毛が密生する

  新葉は茶色のものと緑色のものがある
茶色の新葉 緑色の新葉
            茶色の新葉           緑色の新葉  

  葉の形は変異がある
 幅がひろい葉 幅がひろい葉
 幅がせまい葉 巾がせまい葉
  先が尾状に
  伸びる葉
先が尾状に伸びる葉

    葉脈と鋸歯
側脈の先は鋸歯に達する

3月
鋸歯
鋸歯

2月
鋸歯
果実  堅果( どんぐり )。      
長さ約2cmの卵球形で無毛、秋に褐色に熟す。堅果の下部は殻斗(総苞)に包まれる。殻斗はお椀型で同心円の環が5〜7個並ぶ。果実はその年の秋に熟す。
どんぐりは秋に褐色に色づく

地蔵浜町浜工業公園のもの
地面に落ちたどんぐり
堅果はまだ小さい

7月
小さい堅果
このあとぐんぐん
大きくなる

三ヶ山町
とんぼ池公園で
2006.9月
9月の堅果
大きく育った

地蔵浜町
浜工業公園で
2006.10月
大きくなった堅果
茶色に色づく前に地面に落ちた

地蔵浜町
浜工業公園で
2006.10月
地面に落ちた堅果
果実の長さは2cm

アラカシのどんぐりは縦じまが目立つ

11月       
果実
どんぐりの先
3本の花柱が残る 
果実の先
殻斗には環があり下部の環は浅く裂ける

11月
殻斗には環がある
どんぐりの基部

基部のほかに底、底部などの呼び方がある
少し専門的にはへそとも呼ぶらしい
どんぐりの底
少し突き出たどんぐりの底 どんぐりの底
どんぐりの底 どんぐりの底

堅果(どんぐり)の先端によるアラカシとシラカシの区別






シラカシ
のどんぐりの先には段がありとび出る
シラカシとアラカシのどんぐりの先をくらべると
アラカシのどんぐりの先はなで肩で段がない






樹皮   暗灰色。           
皮目やくぼみがあるが、平滑に見えることも多い。
新枝は淡緑紫色で軟毛が密生する
次年は無毛になり皮目が多くなる

和歌山県
紀の川市で
2014.4月
平滑な樹皮 くぼみがある樹皮
       平滑な樹皮      くぼみがある樹皮
カイガラムシの1種の影響で荒れた樹皮
  カイガラムシの1種の影響で荒れた樹皮
冬芽  
枝先に数個つく。光沢のある鱗片は5列に並ぶので、上から見ると丸味のある5角形に見える。鱗片のへりに毛がある。
赤味のある冬芽 色白の冬芽
   赤味のある冬芽  1月   色白の冬芽   1月
アラカシの冬芽は
上から見ると五角形

12月
上から見ると5角形
同属の仲間の樹木               ドングリの殻斗に同心円状の環がある仲間(アカガシ亜属)を下に挙げた
シラカシ  ウラジロガシ  イチイガシ    アカガシ  ツクバネガシ

HOME、もくじ   樹木名一覧  葉の図鑑  花の図鑑  実の図鑑


          このホームページ内の文章、画像の転載は禁止です。
          Copyright(c) 2010  Kigi@Kishiwada  All rights reserved.

inserted by FC2 system