HOME、もくじ   樹木名一覧  葉の図鑑  花の図鑑  実の図鑑
 画面の文字が小さいときは、メニューバー>表示>文字のサイズ、で文字
 を大きくしたり、または拡大レベルを125%にあげるなどしてご覧ください。


フウ  

マンサク科フウ属
(新しい分類体系APGVではフウ科とされる)
学名:Liquidambar formosana

別名:タイワンフウ、イガカエデ   
葉は3裂する 果実はクリのイガ状
  属名のLiquidambarは琥珀の液体の意、幹から芳香のある樹脂が流れ出ることから。種小名のformosanaは台湾のを意味する。

  中国、台湾が原産で日本には江戸時代に渡来した。(下記参照)漢字表記は楓(ふう)だが、楓はカエデとも読む場合がある。楓の字は本来はマンサク科の本種を指すが、訓読みでカエデと読めばモミジでお馴染みのカエデ科の樹木を指す。日本語のややこしい一面である。なお中国ではカエデは槭の字で表すという。
  フウは渡来樹木とされているが国内の古代地層から葉や花粉の化石がよく見つかるという。約2,000万年前〜約200万年前の日本にはフウがふつうにあったのだが、その後絶滅していたのである。
  樹脂を楓香脂といい、漢方で結核、疥癬に用いるという。

  岸和田市では別所町宮の池公園の南端に2株あり、花や果実を観察することができる。荒木町北公園の東側道路際にも数本植えられている。


  雌雄同株、雌雄異花。



フウの渡来のこと

フウを中国から輸入したのは徳川八代将軍吉宗だとされる。1727年に中国から長崎に入ってきたものが江戸城内、上野寛永寺、日光東照宮に植えられたという。この三つの場所を知ってある疑問が生じた。それは医薬に関心が強く、薬効のある植物を探索させたり中国から輸入することにも熱心だった吉宗が薬効のあるフウを薬木として輸入したのであれば、当然小石川薬園にも植えられていたはずではないかという疑問である。小石川薬園は現在の東京大学附属植物園(通称小石川植物園)である。
  吉宗とフウのことをネット検索で調べるうちに次のことがわかってきた。フウは中国では宮殿内にだけ植えられる高貴な木で、天子のいるところを楓宸と呼ぶという由緒を知った吉宗が輸入させたというのである。吉宗の輸入の目的は薬木としてではなく、その高貴とされる価値だったのではないだろうか。そのために小石川の薬園に植えられることがなく、家康が眠る日光東照宮、徳川家菩提寺である上野寛永寺、現将軍の居城である江戸城に植えたとすればうなずけるような気がする。

 参照先(上富田町公式ホームページ)


クリックすると、写真と説明にジャンプします。

樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

葉によるフウとモミジバフウの区別
フウとモミジバフウの果実の比較
冬芽によるフウとモミジバフウの区別

樹形  落葉高木。
高さ20m余、直径40cmになる。
原産地では40m以上になるという。
樹形
左右ともフウの木
右うしろの建物は岸和田警察署

別所町
宮の池公園で
2007.7月
樹形
冬の樹形

2月になってもまだ完全に落葉していない

別所町
宮の池公園で
2011.2月
冬の樹形
果実をつけた枝

別所町
宮の池公園で
2007.7月
果実をつけた枝
紅葉

荒木町北公園で
2008.12月
紅葉
   環境    街路樹、公園樹、庭木
   雌雄同株。 花期:4月 葉の展開と同時に開花する。    
雌花序は長い柄の先に球状につく。雌花は長さ1cmほどの花柱があり、基部に退化した雄しべがある。花弁はない。
雄花序は球状の花序がさらに総状花序をつくる。雄花も花弁がなく雄しべと鱗片だけからなり、葯だけが目立つ。
1個の冬芽に雌雄の花序と複数の葉が入る

雌花序は紅い
雄花序は総状につく

別所町
宮の池公園で
2013.3月下旬
展開が始まった花序
展開をはじめた雄花序

別所町宮の池公園で
2012.4月
展開中の雄花序
雌花序は球状で赤みをおびる
雌花序は3個みえる
雄花序より短い

左上に黒っぽくみえるものが雄花序
雄花序は総状

別所町宮の池公園で
2010.4月
雌花序と雄花序
雌花序と雄花序

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雌花序と雄花序

   雌花序
ごく若い雌花序
はじめは濃い紅色

別所町
宮の池公園で
2010.4月
ごく若い芽序
雌花序
長い柄がある

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雌花序
雌花序

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雌花序
花柱の先は曲がる 花柱
時間が経った雌花序
花柱の紅みはなくなった

別所町
宮の池公園で
2010.4月
時間が経った雌花序
雌花序

別所町
宮の池公園で
2008.4月
雌花序

   雄花序 
雄花序

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雄花序
雄花序の一部

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雄花序の一部
雄花序の一部

別所町
宮の池公園で
2010.4月
雄花序の一部
  互生。
葉身の長さ、幅とも10〜20cmほど、3中裂し裂片の先は尾状にとがる。紙質。ふちに細かい鋸歯がある。葉柄の長さは約8cm。
枝葉

別所町
宮の池公園で
2007.4月
枝葉
葉の表

別所町
宮の池公園で
2007.10月
葉の表
葉の表
5裂にみえる葉

荒木町北公園で
2008.11月
葉の形
切れ込みかたに変化がある 葉の形
葉の裏

別所町
宮の池公園で
2007.10月
葉の裏
葉の裏

荒木町北公園で
2008.11月
葉の裏
新葉の鋸歯

4月
鋸歯

12月
鋸歯
葉の裏面基部

11月
葉の裏面
落葉期の葉

裏面の脈わきに毛叢が残る

12月
落葉期にも裏面の脈わきの毛叢は残る
葉柄と葉脈基部は赤味を帯びることが多い

7月
葉の裏面
托葉は線状

のちトゲのようになり落葉時まで残る(下の写真)

4月
托葉は線状
托葉はトゲのように変化して残る

1月
トゲのように変化した托葉
新葉

別所町
宮の池公園で
2010.4月
新葉
紅葉と黄葉

12月
紅葉と黄葉

   葉によるフウとモミジバフウの区別
フウの葉は3裂が標準的

モモジバフウの葉は5裂が標準的
葉の比較
果実   さく果が多数集まった集合果。
直径約3cmの球形。
先端にトゲ状になった花柱が残り、クリのいが状になる。
果実をつけた枝

荒木町北公園で
2009.8月
果実をつけた枝
若い果実
まだ上向きにつく

別所町
宮の池公園で
2010.6月
若い果実
若い果実

別所町
宮の池公園で
2007.7月
若い果実
果実

別所町
宮の池公園で
2007.10月
果実
種子を出した果実

別所町
宮の池公園で
2007.12月
種子を出したあとの果実
種子を出したあと

12月
種子を出した後の果実
種子を出したあとの果実は地面に落ちても変形しにくい

別所町
宮の池公園で
2007.5月
種子を出したあとの果実

種子
種子は長さ8mmほどの扁平な楕円形

翼がある
種子
 翼がある種子 種子には翼がある

フウとモミジバフウの果実の比較
どちらも花柱が残るがフウの花柱のほうが細く長い

モミジバフウのほうが種子が出たあとの穴が大きい
フウとモミジバフウの果実の違い
種子はよく似る フウとモミジバフウの種子
樹皮  黒褐色。
老木ではたてに浅く裂ける。新枝は緑色を帯びた暗灰色〜黒灰色で軟毛や粗い毛がはえる。
若い木の樹皮 成木の樹皮
      若い木の樹皮        成木の樹皮
冬芽  
長さ約8mmの卵形〜長卵形、先はとがる。
冬芽

12月
冬芽
芽鱗は15〜18枚
短毛がある

12月
冬芽
動きだした冬芽

別所町
宮の池公園で
2010.3月  
動きだした冬芽
展開しはじめた
冬芽

別所町
宮の池公園で
2010.3月
展開しはじめた冬芽
葉痕
半円形〜三角形で隆起する
維管束痕は3個

別所町
宮の池公園で
2014.1月
葉痕

   冬芽によるフウとモミジバフウの区別 
フウの冬芽の芽鱗には毛が密生する 冬芽の比較
モミジバフウの冬芽は芽鱗のふちだけに毛があるので全体に光沢がある  
同属の仲間の樹木     モミジバフウ

HOME、もくじ   樹木名一覧  葉の図鑑  花の図鑑  実の図鑑


          このホームページ内の文章、画像の転載は禁止です。
          Copyright(c) 2010  Kigi@Kishiwada  All rights reserved.

inserted by FC2 system