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プラタナス(交雑種)     鈴掛の木

スズカケノキ科スズカケノキ属
学名:Platanus
 
葉は大きい 果実はまるくぶら下がる
  属名のPlatanusは広いを表すギリシア語のplatysからきており、大きい葉を意味する。

  古代ヨーロッパではプラタナスがたくさん植えられていたというが、ソクラテスやプラトンなどの古代ギリシア哲学者が木陰で弟子たちに講義したというのでこの木は学問の木とされている。樹高30mにもなり大きな葉をもつ枝は確かに素晴らしい緑陰をつくったことだろう。同じく古代ギリシアの医者であるヒポクラテスもプラタナスの木陰で弟子に医学を説いたと言われ、現在もギリシャのコス島の広場には「ヒポクラテスの木」と呼ばれる巨樹があるという。1977年日本赤十字社の創立100周年の際にはギリシャ赤十字社から「ヒポクラテスの木」が記念樹として贈られ、それから増やされたプラタナスが医学教育のシンボルとして病院や大学に植えられた例も多いという。

  日本ではスズカケノキ属のうちスズカケノキ、アメリカスズカケノキ、モミジバスズカケノキの3種が見られ、いずれも明治時代に渡来したといい、新宿御苑には当時の個体があるらしい。
  プラタナスはひと頃まで街路樹としてふつうに見られたものだが、最近は見かけることが少なくなった。大きな落ち葉が迷惑がられたのだとも聞く。国土交通省の全国街路樹調査でも1987年には高木の部で多く植えられる樹種の3位であったのが、2002年には7位に順位をさげている。
  果実がたくさんできて、1個の果実に500個もの種子がつくので実生から野生で生育したものがあってもよさそうだが、日本には野生の個体はないとされる。種子は乾燥すると発芽しにくいらしい。

  岸和田市では本種を見ることは以外に少なく、これまで地蔵浜町浜工業公園正面入口、臨海町朝陽プール前の2株、荒木町にある岸和田市医師会看護専門学校駐車場で数株を見るぐらいである。
  浜工業公園で見るプラタナスは果柄に果実が1個ずつつく点、そう果の先がモミジバスズカケノキのようにくちばし状にとがらず丸くなる点、樹皮がはがれない個体が数株あるなどアメリカスズカケノキの特徴が強いと考えられるが、図鑑などの資料によるとアメリカスズカケノキの植裁は稀とあるので、ここではアメリカスズカケノキとせずに交雑種として扱った。
 


  雌雄同株、雌雄異花。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

樹形  落葉高木。高さ30mほどになる。
樹形

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.5月
樹形
冬の樹形

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.3月
冬の樹形
秋の樹形

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.11月
秋の樹形
花序をつけた枝

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
花期の枝
果実が残った枝

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.3月
落葉後の枝
 環境  街路樹、公園樹
   雌雄同株、雌雄異花。 花期:4〜5月    
花は単性で雌雄別に球形花序をつくる。花序は直径1.5cmほど、長い柄がありぶら下がる。
  雌花  花弁がない。柱頭は紅い。花柱は果期まで残る。
若い花序
まだ柄が短い

葉もまだ小さくこれから大きくなる

地蔵浜町
浜工業公園で
2007.4月
若い花序
花柄が伸び葉も大きくなってきた

地蔵浜町
浜工業公園で
2011.4月
若い花序
開花した花序

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.4月
花序
花序

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月
花序
花序の断面 花序
柱頭は紅い

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月
花序
花柱を一部取り除いた

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.5月
花柱は紅い

   雄花  花糸はごく短く、葯隔は先が広がり楯状になる。
雄しべは3〜8本 ( 画像 準備中 )
  互生。
葉身の長さは10〜20cmほどの広卵形、浅く3〜5裂する。ふちにあらい切れ込みがある。葉脈は掌状。若い葉は両面にはじめ星状毛が密生するがのち無毛になる。裏面の脈わきには毛叢が残る。托葉は筒状で新葉をとりまき、ふちに鋸歯がある。
新葉

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.5月
新葉
若い葉ははじめ星状毛を密生する

地蔵浜町
浜工業公園で
2007.4月
新葉は毛が多い
托葉
葉の展開後に落ちる

臨海町で
2011.5月
托葉
落ち葉

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.11月
落ち葉
落ち葉

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.11月
落ち葉
若い時にあった星状毛は次第になくなるが脈わきには毛叢が残る

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.11月
葉裏の脈わきには毛叢がある
脈上にふくらんだ部分がみられるがこれが何なのかは不明

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.11月
葉の裏面
葉柄の基部はふくらんでキャップ状になり内部は空洞になる

これは内部に冬芽を包んで保護するのだ

このような冬芽を葉柄内芽という
葉柄基部の特徴
堺市三宝公園のプラタナス

2008.10月
葉柄基部の特徴
果実   多数のそう果から成る集合果。直径3cmほどの球形。
秋〜初冬に熟する。1個の果実に500個ほどのそう果がつくらしい。そう果は長さ1cmほどの倒円錐形、基部に褐色の長毛が密生する。
果実
     新葉の展開時にも昨年の果実が残った  浜工業公園で 2010.4月  
果実
     ↑  冬を越して枝に残った果実     浜工業公園で 2005.3月
若い果実

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.7月
落果

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.12月
果実
落果

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.12月
果実
落果
そう果がばらけてきた

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.4月
ばらける果実

種子
( 画像 準備中 )
樹皮   広い薄片となってはがれ落ち、おちた跡が特有のまだら模様になる。
若い枝ははじめ星状毛におおわれるがのち無毛。
  下の写真はすべて地蔵浜町浜工業公園のプラタナスの樹皮  2005.7月
樹皮 樹皮
樹皮 樹皮
冬芽  葉柄内芽。
長さ1cm弱の卵形。葉柄の基部に包まれ、落葉するまで見えない。
1枚の芽鱗に包まれる。
頂芽

荒木町で
2009.2月
冬芽
側芽

地蔵浜町
浜工業公園で
2009.12月
冬芽
維管束痕が円形になり葉柄の基部が冬芽をとりまいていたことがよくわかる

地蔵浜町
浜工業公園で
2004.12月
葉痕
同属の仲間の樹木  
スズカケノキ   アメリカスズカケノキ   モミジバスズカケノキ

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