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クリ  

ブナ科クリ属
学名:Castanea crenata
別名:シバグリ   
 
イガが割れて堅果が出てきた 葉はクヌギの葉に似る
  属名のCastaneaはクリのラテン古語。種小名のcrenataはホタテ貝の貝殻のふちのような波形のを意味する。

  クリは古代から重要な食糧として利用されてきた。青森県三内丸山遺跡(4,000年〜5,500年前)では大規模なクリ栽培の跡が見つかったという。
  万葉集にクリが登場する歌は3首のみで、そのうち2首はクリの実を詠ったものではなく、「なか」の枕詞として用いられたものだ。クリのイガには3個の実が入っていることからである。あとの1首は山上憶良の有名な歌、「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆ・・・」だ。
  大宝律令(701年)に「義倉」という災害や飢饉に備えて食糧を徴収し備蓄しておく制度があったが、そこに栗を徴収することが書かれている。当時においても安定した食糧だったといえるのだろう。
  クリは秋の味覚のひとつだが、野生のものはシバグリ、ヤマグリとも呼ばれ実は小さいが甘くて生でも食べることができる。とくに堅果の大きいものが平安時代にはすでに栽培されており、その代表的なものがタンバグリである。材は腐りにくく建築、土木、椎茸のほだ木などに利用されてきた。
  虫媒花で花の香りは非常に強く、風にのって離れたところまで臭う。

  岸和田市では和泉山脈の麓にあたる塔原町、大沢町、相川町、河合町の山地や神於山でふつうに見ることができる。


  雌雄同株、雌雄異花。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

葉の鋸歯によるクリとクヌギの区別

樹形  落葉中高木〜高木。
高さ20m、大きいものではそれ以上になる。
よく分枝して大きな樹冠をつくる。
花期の樹形

大沢町で
2010.6月
樹形
落葉前の樹形
栽培種

河合町で
2008.1月
樹形
枝葉
野生種

大沢町シガ谷で
2007.6月
枝葉
果実をつけた枝

大沢町
塔原林道で
2012.10月
果実
   環境  丘陵〜山地
   雌雄同株、雌雄異花。 花期:6月    
新枝の葉のわきから尾状花序を上向きに出す。花序の長さは10〜15cm、大部分が雄花で基部に1〜2個の雌花がつく。
花序
                    ↑ 花序   河合町鎌谷で 2011.6月

   雌花 
雌花序は新枝上部の花序の基部につく

大沢町シガ谷で
2009.6月
雌花は花序の基部につく
雌花は花序の基部につく

河合町鎌谷で 
2011.6月
雌花は花序の基部につく
雌花は緑色の総苞のなかに3個ずつ入る
花柱は長さ3mmほどの針状で総苞のそとにとび出る
花柱は9〜10個

大沢町シガ谷で
2010.6月
雌花

   雄花 
開花前の花序
栽培種

大阪市住吉区で
2005.4月
開花前の花序
雄花のみの花序
栽培種

大阪市住吉区で
2006.6月
花序
雄花は半円形の苞のわきに7個ほどが集まってつく
雄しべは約10本で花被の外に長く突き出る
栽培種

大阪市住吉区で
2006.6月
雄花
  互生。
葉身の長さは7〜14cm、長楕円形〜長楕円状披針形。質はうすい革質。先はとがり、ふちに鋸歯がある。側脈の先は鋸歯に達する。
表面は濃緑色で光沢がある
主脈にそって星状毛があるほかは無毛

兵庫県
篠山市の山地で
2010.10月
葉の表
裏面は淡緑色

兵庫県
篠山市の山地で
2010.10月
葉の裏
裏面に小星状毛が多いものは灰白色

大沢町シガ谷で
2010.6月
葉の裏
鋸歯の先は針状で先端まで緑色

先端まで緑色かどうかでクヌギの葉との区別ができる(下記を参照)

10月
鋸歯は先端まで緑色

   鋸歯の先によるクリとクヌギの区別 
鋸歯の先は葉緑素があり緑色である クリとクヌギの鋸歯の先は色が異なる
鋸歯の先は葉緑素がなく緑色ではない
果実   堅果。
その年の秋に熟す。イガ(殻斗)は球形で外側に長さ1cmほどのトゲが密生する。熟すと4裂して1〜3個の褐色の堅果を出す。堅果の大きさはまちまちである。
果実
            ↑ 果実をつけた枝(栽培種)   相川町で 2008.9月  
野生のクリ
果実はイガに包まれる

相川町の山地で
2007.10月
果実
イガは針状のトゲが密生する
栽培種

大阪市住吉区で
2004.8月
イガ(殻斗)
野生のクリ

裂開して堅果がみえてきた

大沢町
塔原林道で
2012.10月
裂開したイガ
野生のクリ

裂開したイガ

兵庫県
篠山市の山地で
2007.10月
イガが割れて堅果が出てきた
野生のクリ
左は4裂したイガ
右は未熟の果実

相川町の道路に落ちていた
2008.9月
イガは4裂する

   堅果 扁円形、高さより幅のほうが大きい。先はわずかに突き出る。
      殻は果皮、渋皮は種皮にあたる
食用にする部分は2枚の子葉

10月
堅果
先端に花柱が残る 堅果
樹皮  灰色〜灰黒色。老木では大きな割れ目が入る。
新枝は淡緑色で有毛。
2年枝は無毛になり、まるい小さな皮目がある。
若い枝の樹皮

兵庫県篠山市の山地で
2010.10月
若い枝の樹皮
若い木の樹皮 若い木の樹皮
      若い木の樹皮     若い木の樹皮

若い木の樹皮 成木の樹皮
      若い木の樹皮         成木の樹皮
冬芽  長さ3mmほどの卵形〜広卵形、クリの実に似る。
冬芽
栽培種

大阪市
住吉区で
2006.12月
冬芽
冬芽
栽培種

大阪市
住吉区で
2007.1月
冬芽はクリの実に似る
動きだした冬芽

大沢町
シガ谷で
2009.3月
動きだした冬芽
同属の仲間の樹木    日本ではクリだけが知られる。
ハコグリ、トゲナシグリ、シダレグリの品種がある。

洋菓子のマロングラッセはヨーロッパグリCastanea sativa で作る。
甘栗はシナグリCastanea mollissima から作る。

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