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クロマツ  黒松 
マツ科マツ属         
学名:Pinus thunbergii

別名:オマツ
果実 樹皮
  属名のPinusはマツのラテン古名から。種小名のthunbergiiはツンベルグの名から。スウェーデンの植物学者カール・ツンベルグ(トゥンベリーとも)は1775年に長崎出島のオランダ商館付医師として来日し、日本の植物を調査して「日本植物誌」を著した。

  クロマツは海岸に多いマツで、日本三景の天橋立の風景を思い起こすとクロマツの姿が浮かんでくる。高波の時には潮をかぶるような岩の上にも生育するのがクロマツである。アカマツはクロマツよりも内陸部に分布するといわれ、アカマツのほうが比較的寒さに強いとされる。
  マツの球果は松かさや松ぼっくりと呼ばれこどもが遊んだり大人では造形に使ったりしてなじみ深いものだが、漢詩や俳句の世界では松子(しょうし、ちじり)ともいうそうだ。新松子(しんちじり、しんちぢり)といえば秋の季語である。マツの球果は2年半かけて成熟するが、その成熟前のまだ青い球果を新松子という。

  岸和田市では自然海岸が消滅してしまっているので、「海岸の岩に松」という風景はもう見ることができないが、地蔵浜町浜工業公園に
はクロマツ林(樹形の項を参照)が造成されており、海岸部の雰囲気を醸し出している。

  雌雄同株、雌雄異花。

松の実について
  お酒のつまみや食材、養生食として松の実を食用にするが、この松の実は日本に自生するクロマツ、アカマツからは採れず、朝鮮半島から中国東北部、ロシア東部に分布するチョウセンゴヨウから採取した種子である。食用にする部分はその胚乳だ。アカマツ、クロマツの種子は風散布なので種子が小さく、食用には適さない。
  漢方薬にも利用され、心臓病、貧血、滋養強壮などに薬効があるという。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

種子が翼から離れるようす

樹形  常緑高木。高さ30m、直径2mになる。
公園の植裁

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.8月
公園のクロマツ
クロマツ林

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.8月
造成されたクロマツ林
枝葉

地蔵浜町
浜工業公園で
2008.11月
枝のようす
2年生の幼木

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.8月
2年生の幼木
   環境  海岸近く、潮風に強い。公園樹、庭木。
 雌雄同株、雌雄異花。 花期:4〜5月   
雌花は新枝の上部に数個つく。長さ約3mmの球形で、紫紅色。
雄花は新枝の下部に多数つく。長さ約2cmの楕円形で黄白色。
雌花と雄花

雌花が新枝の上部に雄花が下部につく

4月
雌花と雄花
雌花と雄花の下部に昨年開花した球果がみえる

地蔵浜町
浜工業公園で
2010.4月
雌花、雄花、2年目の果実

  雌花
雌花
形はマツカサの
ミニ版

雌花の下部にみえるものは新葉

4月       
雌花
雌花
形はマツカサの
ミニ版

雌花の下部に新葉がつく

4月       
雌花
雌花

4月
雌花
6個の雌花がつく枝 6個の雌花がつく枝
雌花のその後
若い球果になった

上の写真で白くみえる新葉も伸びて緑色になった

7月
経過した雌花

  雄花
雄花

4月
     
雄花
雄花

5月
     
雄花
雄花

花粉を出している
花粉を出す雄花
雄花

4月
雄花
  2本が束生する。葉身の長さは約12cmで、針形。
     先はとがり、断面は半円形で2本合わせると円になる。
葉はよじれたようになる 葉
新枝の先に雌花がつき、その下部に新葉がつく

左うしろに去年の古い葉がみえる

4月
新葉と雌花
伸び始めた新葉

4月
伸び始めた新葉
果実  まつかさ、まつぼっくりと呼ぶ球果。
球果は長さ約5cmの卵状円錐形で、2年半後の秋に褐色に熟す。
種鱗はくさび形で、長さ2.5cm。種子が2個つく。
はじめての冬を迎えた果実

2月
1年目の果実
1年半たって2回目の秋を迎えた

10月
2回目の秋を迎えた果実
左の茶色のまつかさは熟した果実で種子を出したあと

右の緑色のものは花後1年半たった果実でもう1年かけて熟す

10月
熟した果実
熟した果実
花後2年半

種鱗の間に種子の翼がみえる

1個の種鱗に2個の種子がつくが、1個は飛散しているものもある

10月
熟した果実

    種子  長さ約5mmの倒卵形で、長さ1.5cmほどの翼がある。
          風散布される。
    種子

10月
種子
種子の長さは5mm
翼の長さは15mm

10月           
種子

   種子が翼から離れるようす  
乾燥した状態

種子は翼の爪にはさまれ固定されている
(下図を参照)
乾燥した状態の種子
翼から伸びる爪

一方の爪は種子を抱え込むように伸びる
種子を抱え込む爪
地面に落下してもその場所が乾燥していれば、種子は爪に抱え込まれたまま翼から離れることはなく再び別の場所へ風で運ばれる。これをくり返して発芽に適した湿った場所に着くと翼の爪がひろがり、抱え込んでいた種子を放出する。
水分を加えると翼の爪がひろがった ひろがった爪
翼から離れた種子 翼から離れた種子
樹皮  灰黒色で縦にさけ、老木では亀甲状に割れてはがれる。
成木の樹皮 亀甲状にわれてきた樹皮
        成木の樹皮   亀甲状にわれてきた樹皮
ヤニ ヤニ
     樹皮から出るヤニ      かたまって盛りあがるヤニ
冬芽  鱗片は白い。
冬芽

右のマツカサの形のものは
最初の冬を迎えた若い果実

2月
冬芽  
上の冬芽の状態から伸展したようす

2月
伸びはじめた冬芽
同属の仲間の樹木 
アカマツ   ハイマツは中部地方以北の高山に分布する
ゴヨウマツ
は5本の葉が束生するので五葉松の名がある
リュウキュウマツ
は沖縄諸島に分布する

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