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ヌルデ  白膠木

ウルシ科ウルシ属
(新しい分類体系APGVではウルシ科ヌルデ属とされる)
学名:Rhus javanica var. chinensis

別名:フシノキ    
葉は奇数羽状複葉 果実はひとかたまりになる
  属名のRhusはウルシ属の木を指すギリシア語から。種小名のjavanicaはインドネシア、ジャワのを意味する。変種名のchinensisは中国のを意味する。

  ヌルデは秋に美しく紅葉する樹木の代表的なもので、ひと頃は小学校理科の教科書にはたいていヌルデの紅葉の写真が載っていたものだ。俳句では白膠木紅葉(ぬるでもみじ)が秋の季語となっている。
 
  ヌルデの別名はフシノキだが、そのフシ(付子)とはヌルデの虫えい(虫こぶ)を採集し乾燥したもので、タンニンを多く含むので薬用や染料に利用され、またお歯黒(歯を黒く染めること)の材料として用いられた。お歯黒といえば時代劇や歌舞伎で江戸時代武家の妻女の風習として知られるが、実際は古代からみられた風習のようだ。古いところでは大藪古墳(東大阪市東石切町)に埋葬されていた複数の人骨に黒く染めた歯がみられたという。

  果実が熟してくると白い物質を分泌し果実を包んでしまうが、この成分はリンゴ酸カルシウムで酸味のある塩辛い味がする。山歩きに疲れたときに舐めると幾分の疲労回復になると聞いたことがある。実際に舐めてみた感じではたしかに塩味がして、とくに美味しくも不味くもないというところだった。
  ウルシ科の木ということと葉の表面にできた小さな虫こぶのブツブツを見るとハゼノキやヤマウルシのようにかぶれやすいイメージがあるが、とくに敏感な人を除いてかぶれることはないらしい。しかし体調によってはやはりかぶれることもあると聞くので、触らないほうが無難であろう。
  果実はウルシ科の木らしくロウの原料にされたという。

  岸和田市では丘陵から山地にかけて林縁などでふつうに見る。手軽なところでは流木墓地公園で見ることができる。


  雌雄異株。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木 虫えい(虫こぶ)

樹形  落葉小高木。
高さ5mほど、直径10cmになる。大きいものでは10mになる。
果実をつけた枝

大沢町シガ谷で
2009.10月
果実をつけた枝
 環境  平地から低山地の林縁
   雌雄異株。 花期:8〜9月    
枝先に長さ20〜30cmほどの円錐花序を出し、白色の小さな花が多数つく。花序の軸に淡褐色の毛が密生する。
( 画像 準備中 )

   雌花 
花弁はそり返らない
柱頭は3つに分かれる
( 画像 準備中 )

   雄花 
花弁はそり返る
雄しべは5本
雄しべは花から突き出る
( 画像 準備中 )
  互生。長さ30cmほどの奇数羽状複葉。
葉柄に軟毛が密生する。ふつう葉軸に翼がある。小葉は3〜6対、小葉身の長さは5〜12cmの楕円形〜長楕円形、先はとがる。質は厚く、ふちに粗い鋸歯がある。小葉柄はほとんどない。
葉は奇数羽状複葉
              葉          相川町で  2009.6月
新葉は赤みをおびる

相川町で
2009.6月
新葉
ふつう葉軸に翼があるが翼がみられない個体もある

流木墓地公園で
2012.11月
葉軸の翼
幅がせまい翼もある

相川町で
2009.6月
幅がせまい翼
翼の裏面

流木墓地公園で
2012.11月
翼の裏面
葉と同じように葉脈がある

流木墓地公園で
2012.11月
翼の裏面
翼は小葉の基部のところで一旦途切れる

宝塚市の山地で
2007.11月
葉軸の翼
葉の表は主脈を除いてほとんど無毛

相川町で
2009.6月
小葉の表
葉の裏
軟毛が密生し黄白色〜黄褐色
葉脈は隆起する
     ( 画像 準備中 )
鋸歯

流木墓地公園で
2012.11月
鋸歯
果実   核果。
直径約4mmの扁球形、秋に黄赤色〜黄紫色に熟す。外果皮に黄褐色の細毛が密生する。熟すと白い物質を分泌する。これは酸味のある塩辛い味がする。
若い果序
              若い果序     和泉市いぶき野で   2011.9月
果序
           果序      大沢町シガ谷で   2009.10月
若い果実

和泉市いぶき野で
2011.9月
若い果実
若い果実

和泉市いぶき野で
2011.9月
若い果実
白い物質(リンゴ酸カルシウム)におおわれた果実

大沢町シガ谷で
2009.10月
果実
白い物質(リンゴ酸カルシウム)を分泌した果実

大沢町シガ谷で
2009.10月
果実の白い物質
年を越した果実

鳥が食べたのか雨で流れたのか白い物質はなくなっている

1月
年を越した果実
年を越した果実

1月
年を越した果実
果実
外果皮に黄褐色の細毛が密生する

この果実の大きさは
3mm×4mm

1月
果実

   核


この核の大きさは
2mm×3mm
核
樹皮  灰褐色。赤褐色の皮目が縦にある。
若い枝には黄褐色の毛が密生する。楕円形の皮目が多い。
若い木の樹皮 成木の樹皮
   若い木  直径4cm      成木  直径11cm
冬芽    半球形。黄褐色の毛に包まれる。落葉するまでは葉柄の鞘状基部に包まれ保護される葉柄内芽である。
頂芽はできないことが多い
枝の先に仮頂芽がつく

流木墓地公園で
2012.3月
冬芽
冬芽は黄褐色の軟毛に包まれる

流木墓地公園で
2012.3月
冬芽
葉痕はU字〜V字形
隆起して冬芽を取り囲む

維管束痕は多数

流木墓地公園で
2012.3月
葉痕
虫えい(虫こぶ)
ヌルデの虫えいについて、 「月刊 杉WEB版」 に詳しい記述があるので参照されたい。
虫えい

大沢町シガ谷で
2012.10月
虫えい
ヌルデノミミフシと呼ばれる虫えい
ヌルデシロアブラムシによる虫えい


塔原町
塔原林道で
2012.10月
ヌルデノミミフシ
上の虫えいを下から見ると

ほんのりした色と形が可愛らしい

塔原町
塔原林道で
2012.10月
ヌルデノミミフシ
虫えいを割ってみると

ヌルデシロアブラムシの集団生活だ
虫えい内部のヌルデシロアブラムシ
虫えいの中で生活していたヌルデシロアブラムシは成虫になるとこぶに穴を開けて飛びたってゆく

大沢町シガ谷で
2012.10月
虫が出ていくために開けた穴
同属の仲間の樹木  
ハゼノキ   ヤマハゼ    ヤマウルシ   ウルシ   ツタウルシ

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