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ツブラジイ  円ら椎

ブナ科シイ属
学名:Castanopsis cuspidata
別名:コジイ、シイ   
殻斗に包まれた堅果(どんぐり) 小枝は細くしなやか
  属名のCastanopsisはクリに似て異なるの意。種小名のcuspidataは急にとがったの意。

  本種は虫媒花であるから虫を引き寄せるために雄花の香りが強く、樹冠いっぱいに雄花をつけたツブラジイはあまりよいとは言えない匂いを発散する。
  ツブラジイは同属のスダジイとともに生食できるほどアクが少ないので古代から重要な食糧とされ、縄文遺跡からも出土している。明治生まれの母親から炒った椎の実を食べた話を聞いたことがあり、自分の子どもの頃の体験でも11月の祭りの露店で椎の実を炒って売っている店を見たことがある。ちょうど現在の甘栗を炒っているような店であったと思う。このようにある年代の人たちまでは椎の実は食用として身近であったのではないだろうか。

  別所町宮の池公園の北東端にスダジイの名札がある木が数本植えられているのだが、このうち1個体の枝や葉はスダジイらしいものの果実はどうみてもツブラジイと思えるのだ。このようにツブラジイとスダジイの中間形を示すものも多く、両者を区別しない考え方もある。保育社 「原色日本植物図鑑・木本」ではツブラジイを基本種としスダジイをその変種としている。
  ここでは別種として扱った。両者の区別点は図鑑にもよく書いてあるいくつかのポイントがあるが、週刊朝日百科「世界の植物」朝日新聞社(1977)に次のような記述があるので紹介しておく。
スダジイはツブラジイにくらべて幹のまっすぐなものは少ない。」
(初島住彦)

  岸和田市では塔原町の山地に多い。南海バス塔原線の終点のあたりから東の山を見上げると、下の樹形の最初の写真のような樹冠が連なっていることがわかる。花期にはきっとこの樹冠が雄花におおわれてカリフラワーの連なりのように見えることだろう。相川町、大沢町の山地にも多い。
  山地以外では内畑町山直神社の社叢、土生滝町意賀美神社の森にも多い。


  雌雄同株。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

樹形  常緑高木。
高さ20m余、直径1mほどになる。よく枝分かれして茂り、樹冠は球状になる。花時の樹冠は黄白色の雄花におおわれてカリフラワーのように見え、遠くからでもそれとわかる。
ツブラジイの森
    ツブラジイの森           塔原町で    2013.8月
樹形

内畑町
山直神社で
2009.5月
樹冠は球形になる
花期の樹形
雄花で白くなった樹冠が山肌に目立つ

貝塚市蕎原で
2010.5月
花期の樹形
花期の樹冠
雄花で樹冠がカリフラワーのようになる

貝塚市蕎原で
2010.5月
花期の樹冠
ツブラジイの幹はスダジイに比べてまっすぐに伸びる

内畑町の山地で
2007.11月
まっすぐに伸びる幹
板根の雰囲気がある個体
根がもっと横に張り出して完全な板根をもつ例もある

愛知県岡崎市で
2011.11月
板根を思わせる根元
枝葉
枝は細くしなやか

相川町の山地で
2009.12月
枝葉
小枝はスダジイに比べて細い

八幡町弥栄神社で
2010.2月
小枝はスダジイより細い
枝葉

和泉市松尾寺で
2011.11月
枝葉
実生の幼木

相川町の山地で
2010.1月
実生の幼木
  環境  山地の照葉樹林内、神社林
   雌雄同株。 花期:5〜6月    
新枝の上部に雌花序、下部に雄花序がつく。
雌花序は長さ約8cmの穂状花序で緑色の雌花が多数つく。
雄花序は長さ約10cmほどの穂状花序、黄白色の雄花が多数つく。

   雌花 
雌花

基部は椀状の総苞に包まれる
花柱は3個
        ( 画像 準備中 )
受精後の雌花序

6月
雌花序

   雄花 
雄花

雄しべは12本が基本
( 画像 準備中 )
  互生、2列に並ぶ。
葉身の長さは約8cmで卵状長楕円形。質は革質。先はやや長くとがり、ふちは全縁または先のほうに鈍い鋸歯がある。葉柄の長さは約1cm。      
枝葉
日照が少ない環境の個体

内畑町
山直神社の森で
2009.2月
枝葉
葉の裏面
日当たりのよい環境の幼木

和泉市松尾寺で
2009.7月
金色の葉裏
葉の表
全縁の葉

内畑町
山直神社の森で
2009.2月
鋸歯のない葉の表
葉の表
鋸歯がある葉

表面は深緑色
はじめ垢状の毛があるがのち無毛になる

大沢町の山地で
2007.11月
鋸歯がある葉の表
葉の裏
垢状の毛を密生して金色〜灰褐色にみえる

大沢町の山地で
2007.11月
葉の裏は金色にみえる
銀白色の裏面
幼木の葉

和泉市松尾寺で
2009.7月
銀白色の裏面
果実   堅果(どんぐり)。
長さ約1cmの球形〜卵状球形で、翌年の秋に褐色に熟す。若いうちは卵形の殻斗に包まれて外からは見えないが、熟すと殻斗は3裂して堅果が見えるようになる。殻斗は裂開しないこともある。
堅果

大沢町の山地で拾ったもの
2007.11月
拾った堅果(どんぐり)
和泉市松尾寺の
境内で拾ったもの

大きさは8×12mm

2011.11月
和泉市松尾寺のツブラジイ
愛知県岡崎市上地八幡の境内で拾ったどんぐり
下部に毛が多い
大きさは8.5×13mm

2009.11月
岡崎市上地八幡宮のツブラジイ
樹下で拾った枝には裂開した果実がついていた

殻斗の外面には鱗片状の突起が環状に並ぶ

1月
堅果は殻斗に包まれる
堅果の先

大沢町山地で拾ったもの
直径9mm
堅果(どんぐり)
堅果の下部に細毛が多い

大沢町山地で
拾ったもの
どんぐりの下部に毛がある
愛知県岡崎市の神社で拾ったどんぐり
全体に毛が多い
直径8mm、長さ12mm

2009.11月
毛が多いどんぐり
どんぐりのお尻

他のどんぐりに比べツブラジイの底(お尻)は大きい
どんぐりの底は大きい
愛知県岡崎市の神社で拾ったどんぐり

2009.11月
どんぐりの底
樹皮   灰黒色。
ふつうなめらかとされるが、大阪府南部でみるツブラジイでは割れ目ができることも多い。スダジイの割れ目にくらべると浅い。若い枝は褐色をおびた灰緑色でしだいに灰黒色になり、白い皮目が多い。
成木の樹皮 成木の樹皮
  割れ目がない成木の樹皮         成木の樹皮
割れ目のある樹皮 割れ目のある樹皮
割れ目のある樹皮  山直神社で    浅く裂ける樹皮 内畑町で
冬芽   長楕円形で扁平。
冬芽

1月
冬芽
上からみた冬芽

11月
冬芽は扁平
横から見た冬芽
扁平なことがわかる

11月
横から見ると扁平なことがよくわかる
同属の仲間の樹木    スダジイ

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