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ヤマコウバシ 山香ばし クスノキ科クロモジ属 学名:Lindera glauca 別名:モチギ、モチシバ、ヤマコショウ |
属名のLinderaはスウェーデンの植物学者J.Lindera(1676〜1723)の名から。種小名のglaucaは灰緑色のを意味する。 雌雄別種で日本には雌株しかないのに結実する樹として有名であるが、中国には雄株もあるという。 ヤマコウバシの名は枝を折るとよい香りがするからとされるが、枝を傷つけることがはばかられてまだ試したことがない。その香りがショウブにたとえられてショウブノキと呼ぶところもあるという。また実を噛むと辛いのでヤマコショウの名もあるとされるが、山で拾った果実を乾燥させてから噛んでみたが少しクスノキ科に特有な香りがするもののそれほどの刺激はなかった。次は拾ってすぐの乾燥していない果皮で試してみようと考えている。 葉に粘質を含むので乾燥して粉末にし他の食材にまぜて利用されることが多く、地域によっていろいろな呼び名がある。モチノキ、モチギ、ハッタイシバ、コナシバ、トロシバなど。蕎麦打ちのつなぎにも用いたので、ソバノキの名もあるそうだ。乾燥した葉は保存して飢饉の時の非常食にもしたという。 秋に黄葉したあとも落葉せず枯れた葉が冬中枝についているので、冬の山ではすぐにヤマコウバシとわかる。これはふつうの落葉樹と違い葉柄のつけ根に離層ができないからである。春になり新葉が展開してきてやっと枝にお別れするのだ。 岸和田市では和泉山脈の麓にあたる塔原町、大沢町、相川町の山地で見る。最近は庭木として人気があるらしく、園芸ショップで苗木を見かけることがある。 雌雄異株だが、日本では雌株だけが知られる。 |
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樹形 落葉低木。 |
高さ5mになる。冬も枯葉が落ちず春まで枝に残る。 |
黄葉 杉林のなかにはえた個体 大沢町シガ谷で 2007.11月 |
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枝葉 葉が等間隔に並び整った印象がある 大沢町シガ谷で 2007.10月 |
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果期の枝 貝塚市蕎原で 2011.9月 |
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落葉せずに葉は枯れたまま春まで枝に残る 大沢町シガ谷で 2008.2月 |
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環境 低山地、庭木 |
花 雌雄異株だが、日本では雌株だけが知られる。 |
花期:4〜5月。花序は葉と同時に展開する。展開し始めた葉の間から淡黄色の小さい花が散形に出る。花は下向きに咲く。 小花柄は短く白い絹毛が密生する。花被片の長さは1.4mmほど、6枚ある。 |
雌花 子房と花柱が花被から突き出る 柱頭は盤状 仮雄しべが9本ある |
( 画像 準備中 ) | |
葉 互生。等間隔につく。 |
葉身の長さは約7cm、長楕円形〜楕円形。質はやや厚くパリッとした感じがする。先はにぶくとがり、ふちは全縁で波打つ。葉柄は短く上面がくぼむ。 |
枝葉 葉が等間隔に並び整った感じがする 大沢町シガ谷で 2007.10月 |
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新葉 和泉市 大野町の山地で 2007.5月 |
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葉の表 濃緑色 主脈やふちに微毛がある |
( 画像 準備中 ) | |
葉の裏 灰白色 新葉には全体に絹毛が密生しビロードの感じがする 和泉市 大野町の山地で 2007.5月 |
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主脈に褐色の長毛がある 網脈が隆起する 6月 |
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果実 液果。 |
直径7mmほどの球形、秋に黒く熟す。小果柄の長さは1cm余。 |
果実をつけた枝 大沢町シガ谷で 2009.6月 |
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若い果実 大沢町シガ谷で 2017.5月 |
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若い果実 大沢町シガ谷で 2009.6月 |
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若い果実 大沢町シガ谷で 2009.6月 |
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熟した果実 大沢町シガ谷で 2009.10月 |
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熟した果実 大沢町シガ谷で 2009.10月 |
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種子 | 直径6mmほど、ほぼ球形。 国内に雄株がないので受粉なしで成長する種子とされるが、ネット情報によれば国内で採取した種子による実験の結果、発芽能力はあるという。しかし発芽させるのは難しく、条件が必要らしい・ |
2本の稜(紙の折り目のような線状の隆起)がある | ||
樹皮 灰褐色、小さな皮目が多い。 |
新枝にははじめ絹毛が密生する。 |
2年枝は淡褐色で縦に細く割れる 皮目ができる |
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成木の樹皮 | 成木の樹皮 | |
冬芽 混芽。 |
若い枝の先は枯れ、頂芽はない。長さ1cmほどの紡錘形、芽鱗は赤褐色。クロモジ属で混芽をつけるのはヤマコウバシだけである。 |
冬芽 10月 |
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冬芽 11月 |
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同属の仲間の樹木 |
クロモジ アブラチャン ヒメクロモジ カナクギノキ シロモジ ダンコウバイ |
カナクギノキ 和泉市 父鬼町鍋谷で 2007.6月 |
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カナクギノキ 花と新葉 和泉市 父鬼町鍋谷で 2008.4月 |
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シロモジの葉 和歌山県 野迫川村で 2005.6月 |
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クロモジ 兵庫県 篠山市の山地で 2007.10月 |
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