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フウ 楓 マンサク科フウ属 (新しい分類体系APGVではフウ科とされる) 学名:Liquidambar formosana 別名:タイワンフウ、イガカエデ |
属名のLiquidambarは琥珀の液体の意、幹から芳香のある樹脂が流れ出ることから。種小名のformosanaは台湾のを意味する。 中国、台湾が原産で日本には江戸時代に渡来した。(下記参照)漢字表記は楓(ふう)だが、楓はカエデとも読む場合がある。楓の字は本来はマンサク科の本種を指すが、訓読みでカエデと読めばモミジでお馴染みのカエデ科の樹木を指す。日本語のややこしい一面である。なお中国ではカエデは槭の字で表すという。 フウは渡来樹木とされているが国内の古代地層から葉や花粉の化石がよく見つかるという。約2,000万年前〜約200万年前の日本にはフウがふつうにあったのだが、その後絶滅していたのである。 樹脂を楓香脂といい、漢方で結核、疥癬に用いるという。 岸和田市では別所町宮の池公園の南端に2株あり、花や果実を観察することができる。荒木町北公園の東側道路際にも数本植えられている。 雌雄同株、雌雄異花。 フウの渡来のこと フウを中国から輸入したのは徳川八代将軍吉宗だとされる。1727年に中国から長崎に入ってきたものが江戸城内、上野寛永寺、日光東照宮に植えられたという。この三つの場所を知ってある疑問が生じた。それは医薬に関心が強く、薬効のある植物を探索させたり中国から輸入することにも熱心だった吉宗が薬効のあるフウを薬木として輸入したのであれば、当然小石川薬園にも植えられていたはずではないかという疑問である。小石川薬園は現在の東京大学附属植物園(通称小石川植物園)である。 吉宗とフウのことをネット検索で調べるうちに次のことがわかってきた。フウは中国では宮殿内にだけ植えられる高貴な木で、天子のいるところを楓宸と呼ぶという由緒を知った吉宗が輸入させたというのである。吉宗の輸入の目的は薬木としてではなく、その高貴とされる価値だったのではないだろうか。そのために小石川の薬園に植えられることがなく、家康が眠る日光東照宮、徳川家菩提寺である上野寛永寺、現将軍の居城である江戸城に植えたとすればうなずけるような気がする。 参照先(上富田町公式ホームページ) |
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葉によるフウとモミジバフウの区別
フウとモミジバフウの果実の比較
冬芽によるフウとモミジバフウの区別
樹形 落葉高木。 |
高さ20m余、直径40cmになる。 原産地では40m以上になるという。 |
樹形 左右ともフウの木 右うしろの建物は岸和田警察署 別所町 宮の池公園で 2007.7月 |
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冬の樹形 2月になってもまだ完全に落葉していない 別所町 宮の池公園で 2011.2月 |
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果実をつけた枝 別所町 宮の池公園で 2007.7月 |
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紅葉 荒木町北公園で 2008.12月 |
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環境 街路樹、公園樹、庭木 |
花 雌雄同株。 花期:4月 葉の展開と同時に開花する。 |
雌花序は長い柄の先に球状につく。雌花は長さ1cmほどの花柱があり、基部に退化した雄しべがある。花弁はない。 雄花序は球状の花序がさらに総状花序をつくる。雄花も花弁がなく雄しべと鱗片だけからなり、葯だけが目立つ。 |
1個の冬芽に雌雄の花序と複数の葉が入る 雌花序は紅い 雄花序は総状につく 別所町 宮の池公園で 2013.3月下旬 |
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展開をはじめた雄花序 別所町宮の池公園で 2012.4月 |
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雌花序は球状で赤みをおびる 雌花序は3個みえる 雄花序より短い 左上に黒っぽくみえるものが雄花序 雄花序は総状 別所町宮の池公園で 2010.4月 |
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雌花序と雄花序 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雌花序 |
ごく若い雌花序 はじめは濃い紅色 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雌花序 長い柄がある 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雌花序 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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花柱の先は曲がる | ||
時間が経った雌花序 花柱の紅みはなくなった 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雌花序 別所町 宮の池公園で 2008.4月 |
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雄花序 |
雄花序 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雄花序の一部 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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雄花序の一部 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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葉 互生。 |
葉身の長さ、幅とも10〜20cmほど、3中裂し裂片の先は尾状にとがる。紙質。ふちに細かい鋸歯がある。葉柄の長さは約8cm。 |
枝葉 別所町 宮の池公園で 2007.4月 |
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葉の表 別所町 宮の池公園で 2007.10月 |
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葉の表 5裂にみえる葉 荒木町北公園で 2008.11月 |
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切れ込みかたに変化がある | ||
葉の裏 別所町 宮の池公園で 2007.10月 |
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葉の裏 荒木町北公園で 2008.11月 |
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新葉の鋸歯 4月 |
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鋸歯 12月 |
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葉の裏面基部 11月 |
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落葉期の葉 裏面の脈わきに毛叢が残る 12月 |
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葉柄と葉脈基部は赤味を帯びることが多い 7月 |
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托葉は線状 のちトゲのようになり落葉時まで残る(下の写真) 4月 |
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托葉はトゲのように変化して残る 1月 |
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新葉 別所町 宮の池公園で 2010.4月 |
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紅葉と黄葉 12月 |
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葉によるフウとモミジバフウの区別 |
フウの葉は3裂が標準的 モモジバフウの葉は5裂が標準的 |
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果実 さく果が多数集まった集合果。 |
直径約3cmの球形。 先端にトゲ状になった花柱が残り、クリのいが状になる。 |
果実をつけた枝 荒木町北公園で 2009.8月 |
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若い果実 まだ上向きにつく 別所町 宮の池公園で 2010.6月 |
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若い果実 別所町 宮の池公園で 2007.7月 |
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果実 別所町 宮の池公園で 2007.10月 |
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種子を出した果実 別所町 宮の池公園で 2007.12月 |
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種子を出したあと 12月 |
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種子を出したあとの果実は地面に落ちても変形しにくい 別所町 宮の池公園で 2007.5月 |
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種子 |
種子は長さ8mmほどの扁平な楕円形 翼がある |
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翼がある種子 | ||
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フウとモミジバフウの果実の比較 |
どちらも花柱が残るがフウの花柱のほうが細く長い モミジバフウのほうが種子が出たあとの穴が大きい |
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種子はよく似る | ||
樹皮 黒褐色。 |
老木ではたてに浅く裂ける。新枝は緑色を帯びた暗灰色〜黒灰色で軟毛や粗い毛がはえる。 |
若い木の樹皮 | 成木の樹皮 | |
冬芽 |
長さ約8mmの卵形〜長卵形、先はとがる。 |
冬芽 12月 |
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芽鱗は15〜18枚 短毛がある 12月 |
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動きだした冬芽 別所町 宮の池公園で 2010.3月 |
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展開しはじめた 冬芽 別所町 宮の池公園で 2010.3月 |
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葉痕 半円形〜三角形で隆起する 維管束痕は3個 別所町 宮の池公園で 2014.1月 |
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冬芽によるフウとモミジバフウの区別 |
フウの冬芽の芽鱗には毛が密生する | ||
モミジバフウの冬芽は芽鱗のふちだけに毛があるので全体に光沢がある | ||
同属の仲間の樹木 モミジバフウ |
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