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イスノキ マンサク科イスノキ属 学名:Distylium racemosum 別名:ヒョンノキ、ユスノキ、ユス、ユシノキ、 サルブエ、イス |
学名のDistyliumは2本の花柱をもつの意。 racemosumは総状花序をもつの意。 葉の表面が丸くふくれた樹を見たら、それはまずイスノキである。イスノキは葉や枝に虫えい(虫こぶ)がつきやすい樹で、虫によって虫えいの形がいろいろである。大きくふくらんだ虫えい(虫こぶ)が木質化したものを笛のように吹くと音が出るのでヒョンノキという。また、虫えいはタンニンを含むので染料にするという。 材は国産材のなかで最も固く釘も打ち込みにくいほどといわれ、建築、器具、楽器などに利用される。宮中や大奥に納められる櫛はイスノキ製であったという。 寺社に植えられることも多く、岸和田市では中井町の八疑神社、五軒屋町の正覚寺で大きな木を見ることができる。畑町の波多神社は小さい神社だが狭い境内に古木が3本ありそのうち1本は直径が60cmもあって、枝には大きな虫えいがたくさんついている。枝が遠いのではっきりとはわからないがイスノキエダオオナガタマフシかイスノキチャイロオオタマフシのようだ。そのほか三ヶ山町とんぼ池公園、地蔵浜町浜工業公園、西之内町中央公園でも見る。民家の庭に植えられたものを見かけることもある。 ふつう雌雄同株。 |
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イスノキの名前にまつわるはなし 古代神話に出てくる櫛がユツの木から作ったとされており、これがイスノキに転化したという説がある。九州では現在もゆすの木と呼んでいて、佐賀県有田焼の柿右衛門釜ではゆすの木の樹皮を焼いて他のものと混ぜ釉薬にするという。鹿児島県の剣道で有名な示現流の木刀はゆすの木で作られる。高知県でもゆすの木と呼ぶようである。 また、結寿の木(ゆすのき)と漢字を当て、縁起の良い木とするところがある。 「日本の野生植物 木本」平凡社 には、イスノキの名は琉球の方言と思われるという記述がある。 |
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樹形 環境 花 葉 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木 虫えい(虫こぶ)
樹形 常緑高木。 |
幹は直立し高さ20mになる。若い枝は節ごとにくの字形に曲がる。 |
樹形 中井町八疑神社で 2007.12月 |
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若い木の樹形 三ヶ山町 とんぼ池公園で 2006.3月 |
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環境 常緑樹林内、神社、公園、生け垣 |
花 ふつう雌雄同株。 花期:3〜5月 |
葉のわきに長さ3cmほどの総状花序を出し、上部に両性花、下部に雄花をつける。花弁はない。雄花の葯が赤く目立つので、花が赤く見える。 |
花をつけた枝 まだつぼみの状態 西之内町 中央公園で 2010.3月中旬 |
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開花した枝 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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開花した花序 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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花序 | ||
花序は葉のわきから出る 西之内町 中央公園で 2010.3月中旬 |
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花序 これから伸展する 西之内町 中央公園で 2010.3月中旬 |
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伸展してきた花序 花序の軸、萼片に褐色の星状毛が多い 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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開花した花序 上部の両性花に赤い雌しべがみえる 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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開花した花序 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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花序のいちばん上に両性花、下部に雄花がつく 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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両性花 |
花序最上部に両性花がつく |
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両性花の雌しべ 花柱は2本 花柱は細く赤色で先は開出する |
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雄花 |
雄花は花序の下方につく 西之内町 中央公園で 2010.3月下旬 |
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雄花 雄しべは5〜8本 退化した雌しべがみえる |
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雄花 | ||
葉 互生。 |
葉身の長さは約5cmで、長楕円形〜倒卵形。ふちは全縁、先の方にすこし鋸歯が出ることがある。革質で両面とも無毛。 |
枝葉 まるいものは虫こぶ 愛知県岡崎市で 2010.1月 |
葉の表 1月 |
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葉の表 3月 |
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葉の裏 1月 |
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葉の裏 3月 |
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新葉の展開 3月 |
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新葉の展開 葉柄ははじめ星状毛が多いがのち無毛になる 3月 |
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新葉は赤みをおびる 西之内町 中央公園で 2010.3月 |
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鋸歯がある葉 ふつうは全縁だがこの葉は胴ぶきといって太い幹から出た小枝についていた葉 畑町波多神社で 2010.2月 |
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全縁とされる葉でもこのように胴ぶきの枝や幼木の葉では鋸歯がみられる 例:クロガネモチ、ヤマモモ等 |
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果実 刮ハ。 |
長さ約8mmの広卵形で、熟すと2裂する。 先端に2本の花柱が残り、黄褐色の毛におおわれる。 |
受精後まもなくのごく若い果実 花柱の色がまだ赤く残る 西之内町 中央公園で 2010.4月下旬 |
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若い果実 西之内町 中央公園で 2010.5月 |
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若い果実 三ヶ山町 とんぼ池公園で 2006.7月 |
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種子 長さ約6mmの楕円形 |
( 画像 準備中 ) | ||
樹皮 暗灰色。 |
老木ではうろこ状にはがれる。 新枝ははじめ星状毛があるがのち無毛。 |
若い枝には稜(紙の折れ目のような線状の隆起)がある まだ星状毛が残る 1月 |
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若い木の樹皮 | はがれ始めた樹皮 | |
古木の樹皮 | 老木の樹皮 八擬神社で | |
冬芽 褐色の星状毛におおわれる。 |
冬芽 左下に虫えい(虫こぶ)が見える 1月 |
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冬芽 下にみえる小さいものは副芽 上にある主芽になにかあった時は代わりに成長する 1月 |
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虫えい(虫こぶ) |
イスノキにはたくさんの種類の虫えいができる。葉にできるのはイスノキハタマフシ(ヤノイスアブラムシの虫えい)、枝につくものにはイスノキエダコタマフシ、イスノキエダオオナガタマフシ、イスノキチャイロオオタマフシなどがある。 |
イスノキエダコタマフシ |
イスノキエダコタマフシはイスノタマフシアブラムシによる虫えい 愛知県岡崎市で 2010.1月 |
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イスノキエダコタマフシはイスノタマフシアブラムシによる虫えい 愛知県岡崎市で 2010.1月 |
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虫こぶを下から見るとアブラムシが出ていった穴がみえる 愛知県岡崎市で 2010.1月 |
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その他の虫えい |
この虫えいはイスノキチャイロオオタマフシ(モンゼンイスアブラムシによる虫えい)と思われる 左の虫えいにアブラムシが出ていった穴がみえる この穴から息を吹き込んで笛にしたという 地蔵浜町 浜工業公園で 2010.3月 |
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上の写真の虫こぶの先 地蔵浜町 浜工業公園で 2010.3月 |
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イスノエダナガタマフシだろうか 先のほうにトゲのような突起がある 息を吹き込むとかんたんに笛のような音が出た 西之内町中央公園のイスノキで見つけた虫こぶ |
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上の虫こぶの内部 | ||
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イスノキハタマフシ |
イスノキの葉にはまるくふくらんだものがよく見られるがイスノキハタマフシという虫えいである これはヤノイスアブラムシによる虫えいである |
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横からみた虫えい |
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横からみた虫えい | ||
アブラムシが出ていった穴 | ||
同属の仲間の樹木 小笠原島には固有種のシマイスノキがある |
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