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クサギ    臭木、常山木 

クマツヅラ科クサギ属
(新しい分類体系APGVではシソ科とされる)

学名:Clerodendrum trichotomum
別名:トーバイ、トーバエ    
雌しべと雄しべは花冠から長く突き出る 果実は紅い萼が目立つ
  属名のClerodendrumは運命の木の意。種小名のtrichotomumは三つに分かれたの意。

  クサギは漢字では臭木と書くように、葉をさわったりちぎったりすると独特の臭気があり、手にその臭いが残る。この臭いを好きという人はそんなにいないだろう。しかし、夏に咲く花の匂いは良い香りで、アゲハチョウなどの蝶類を集める樹でもある。
  Web版岐阜新聞で、クサギの葉を食用にするという記事を見かけたことがある。美濃加茂市でクサギの葉を調理する講習会が開かれたという内容であった。記事によると、静岡県以西の山間地で食べる文化があり、クサギと大豆の煮物を「常山(じょうざん)」と呼ぶそうだ。クサギを食べるには葉を2、3時間ゆでたあと3日間水にさらし、さらに天日で乾燥させる作業が必要で、乾燥させたものは保存がきくという。飢饉の時などに乾燥したものを水で戻して利用したのであろうか。
  またTV番組でも地方によってはクサギの葉を食べる習慣があると紹介しているのを見たことがある。

  常山の語であるが、俳句の季語では常山木と書いてクサギと読み、秋の季語とする。ではなぜクサギが常山なのか、植物学の栗田子郎氏はホームページ「草と木と花の博物誌」>「野の花便り−夏」のなかで、「中国から入った常山アジサイとクサギを混同して以来、クサギを常山と表すようになった。」と述べている。

  岸和田市では丘陵、山麓でふつうに見る。また市街地でも空き地や道路際などでよく見る樹で、南海岸和田駅近くの舗道わきで何株も育っているものを見たことがある。クサギをわざわざ植えることはまずないと思うので、これは自然発生してきたものであろう。

 

  雌雄同株。

クリックすると、写真と説明にジャンプします。

樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

樹形  常緑小高木。高さ5mほどになる。
花期の樹形
樹高2mほど

地蔵浜町
浜工業公園で
2007.8月
花期の樹形
花をつけた枝

神於山で     2006.8月
枝葉と花
果実をつけた枝

大沢町シガ谷で
2007.10月
果期の枝
   環境  山野の林縁、空き地など
 雌雄同株。 花期:7月〜9月   
枝の先に集散花序を出し、花に良い香りがある。花は紅紫色の細長い筒部があり、先は5裂する。裂片は白色、4裂のものもある。1本の雌しべと4本の雄しべが花の外に長く突き出る。萼は紅紫色を帯び、果期には肉質となり色も濃紅色に変わり美しい。
つぼみ

ふくらんできたつぼみは萼がほんのり色づいて可愛い

2008.7月
萼が色づいたつぼみ
花をつけた枝

大北町で
2009.8月
花をつけた枝
花序は集散花序

大北町で
2009.8月
花序は集散花序


神於山で     2006.8月        
雌しべと雄しべは花冠から長く突き出る
紅紫色の細長い筒部が美しい

大北町で
2009.8月
花の筒部は紅紫色
1本の雌しべと4本の雄しべが花の外に長く突き出る
真ん中の曲がっているものが雌しべ

雄しべ先熟のため雌しべはまだ伸びきらずに曲がる
このあと雄しべが曲がり雌しべが伸びてくる
 (下記参照)
雄しべ先熟のようす

雄しべ先熟とは
ひとつの花の雌しべと雄しべの成熟する時期がずれていて、雄しべが先に
熟することで、遅れて熟した雌しべは他の株からの花粉を受けることができ
自家受粉を避ける。
  対生。
葉身の長さは約10cmで、三角状ハート形〜広卵形。質はうすく、葉柄が長い。ふちは全縁のものと低い鋸歯があるものがある。葉の両面、葉柄は有毛。葉裏の基部に腺点がある。葉をさわったりちぎったりすると、独特の臭気がある。
左の葉は葉身が12cmで葉柄が10cmもある 左ー表、右ー裏
紅葉

流木墓地公園で
2012.11月
紅葉

  葉の形、葉柄の長さは葉のつく位置などで変化がある
三角状の葉
葉柄はそれほど長くない
三角状の葉
葉柄が長い葉 葉柄が長い葉
広卵形で葉柄が短い葉 広卵形で葉柄が短い葉

     腺点
葉裏の基部に腺点がある

主脈の両わきにある
葉裏の腺点
腺点を葉表から見ると 葉の表から見る腺点
果実  核果。
直径約6mmの球形で、秋に黒紫色に熟す。萼は肉質となり、色も濃紅色に変わって花弁のようで美しい。      
果実をつけた枝

河内長野市滝畑で
2009.12月
果実をつけた枝
萼の色が濃くなり美しい
黒紫色の丸いものが果実

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.10月       
果実
萼は果実が末熟の間は閉じていて完熟すると開く
萼は色が次第に濃くなり質も厚くなっていく

地蔵浜町
浜工業公園で
2005.10月             
果実
果実が落ちたあとの萼が晩秋の枝に残っていた

流木墓地公園で
2012.11月
果実が落ちたあとの萼
   
表面に隆起した網目模様がある 核
樹皮  灰色〜暗灰色。
樹皮

直径約6cm
樹皮
   
冬芽  裸芽。紫褐色で軟毛がある。      
裸芽であることは、アカメガシワと同じように熱い地域の樹木の特性をのこしていると言われる。
頂芽と側芽

葉痕は楕円形〜ハート形

2月
頂芽と側芽
頂芽

まだ葉が残る

2月
  
頂芽
   側芽

   2月
側芽
同属の仲間の樹木 ボタンクサギは中国原産で園芸用に植えられる
ボタンクサギの花

別所町
市立保健センターで
2007.10月
ボタンクサギの花
ボタンクサギの花は全体が球形になる
一つ一つの花はクサギの花とそっくり

別所町
市立保健センターで
2007.10月
ボタンクサギの花

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