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ハルニレ 春楡 ニレ科ニレ属 学名:Ulmus davidiana var.japonica 別名:ニレ、ヤニレ、アカダモ、エルム |
属名のUlmusはこの樹種のラテン古語。種小名のdavidianaは19世紀のフランス人宣教師で博物学者でもあったArmand Devidの名から。中国で植物を採集し、ジャイアントパンダやハンカチノキをヨーロッパに紹介したとして有名である。変種名のjaponicaは日本産の意。基本種のUlmus
davidianaは中国に分布する。ハルニレの果実は無毛だが基本種の果実は有毛とされる。 仲間であるアキニレの開花は秋であるが、ハルニレは春に花が咲くのでハルニレと呼ばれる。どちらも開花からひと月ほどで果実が成熟する。ハルニレは本州北部、北海道、標高の高い山地などの冷涼な地に多い。大阪府でも以前は豊能郡と中河内で標本の記録があるが、現在は絶滅とされる。(大阪府レッドデータブック 2000年) 四国や三重県などでも個体数が減少し絶滅が危惧されている。 エルムといえば「エルムの学園」として北海道大学のハルニレが有名だが、これは明治時代初期に林を切り開いて学校をつくる時に外国人教師たちがニレを伐らないように進言したので当時からの大木が多数残ったと言われている。 日本ではハルニレをエルムと呼ぶことも多いが、本来のエルムはUlmus glabla(エルム別名オウシュウハルニレ)である。 新葉がまだ柔らかい時期の姿は美しく、アイヌ神話と北欧神話によく似た伝説がある。アイヌ神話では神々も見とれるほど美しいハルニレ姫の上に、見とれて足をすべらせた雷神が落ちてしまった。姫は身ごもり、生まれた男の子がアイヌの祖先であるアイヌラックルだという。北欧神話では神がエルムの木に魂を与え人類最初の女性になったという。美しいエルムに遠慮して神々は雷を落とさないという伝説もあるそうで、雷が落ちてアイヌラックルが生まれた日本の神話とは対照的である。 岸和田市ではアキニレは公園などでふつうに見るのに対しハルニレの樹はないと思っていたのだが、2007年4月に西之内町中央公園に1株植えられているのを発見した。1株だけではあるが樹高もかなりあって元気に成長している。北の方では秋に黄葉するようだが、中央公園のものは紅葉が美しい。花は2月下旬から咲き、3月下旬には果実が枝に鈴なりになる。その後新葉が展開し神話に出てくる美しい姿を見せてくれる。 雌雄同株。 |
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樹形 落葉高木。 |
高さ30m、直径1mほどになる。 太い枝を張り、壮大な円形の樹形になる。 |
果期の樹形 新葉が展する前 西之内町 中央公園で 2009.3.26 |
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樹形 新葉の展開後 西之内町 中央公園で 2007.4.20 |
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樹形 西之内町 中央公園で 2012.10月 |
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紅葉した樹形 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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黄葉 北海道美瑛町で 2013.10月 |
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冬姿 西之内町 中央公園で 2009.1月 |
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果実をつけた枝 太い枝を張る 西之内町 中央公園で 2009.3.26 |
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枝葉 西之内町 中央公園で 2009.6月 |
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紅葉 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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環境 自生地は丘陵〜山地の谷沿い、湿地 |
花 雌雄同株。花期:3〜4月 葉の展開前に開花する。 |
前年枝の葉のわきに小さな花が10個前後束生する。花は紅紫色。 |
展開し始めた花芽 西之内町 中央公園で 2010.2.25 |
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花をつけた枝 西之内町 中央公園で 2009.2.28 |
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花をつけた枝 西之内町 中央公園で 2009.2.28 |
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画面左に雄しべの葯がみえる 右上の花には柱頭がみえる 西之内町 中央公園で 2009.2.28 |
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花 雌しべの花柱は2裂し内面が柱頭となる 雄しべは4本 葯は花被から突き出る |
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雌しべの柱頭は図鑑では白いとされるが中央公園のものは赤味をおびる | ||
葉 互生。 |
葉身の長さは5〜15cm、倒卵形〜楕円形。質はやや厚い。先はとがり基部は左右不同、ふちに重鋸歯がある。葉柄は1cm内外、白い軟毛が密生する。 |
枝葉 西之内町 中央公園で 2010.5月 |
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葉の表 西之内町 中央公園で 2010.5月 |
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葉の表 葉身基部は左右不同 西之内町 中央公園で 2009.6月 |
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葉の裏 西之内町 中央公園で 2010.5月 |
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葉の裏 側脈は平行して 走る 西之内町 中央公園で 2009.6月 |
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紅葉も美しい 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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新葉 西之内町 中央公園で 2010.4月 |
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托葉は早落性 ふつう線形だがこの枝の托葉は幅が広い 左の托葉は枝から落ちてクモの糸に引っかかった 西之内町 中央公園で 2010.4月 |
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紅葉 12月 |
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ふちは重鋸歯 4月 |
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葉裏の基部 西之内町 中央公園で 2010.5月 |
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果実 翼果。 |
長さ1cm余の倒卵形〜広卵形で扁平。先は裂けてくぼむ。無毛。開花から1ヶ月ほどで果実が成長する。黄緑色から褐色になる。翼果の上部に1個の種子が入る。 |
果実をつけた枝 西之内町 中央公園で 2009.3.19 |
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果実をつけた枝 西之内町 中央公園で 2009.3.19 |
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右の果実はまだ 若い 葉芽はまだ展開 していない 西之内町 中央公園で 2009.3.19 |
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果実をつけた枝 西之内町 中央公園で 2009.3.19 |
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果実 西之内町 中央公園で 2009.3.26 |
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枝を上からみると 西之内町 中央公園で 2009.3.26 |
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落下した翼果 西之内町 中央公園で 2009.3.26 |
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翼果 種子は上部にある |
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褐色になった翼果 4月下旬 |
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種子 長さ5mmほどの楕円形 | ||
翼果の先は2裂 する 上部に種子が入る |
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樹皮 灰色〜灰褐色。 |
たてに裂けて不規則にはがれる。新枝には赤褐色の軟毛が多い。2年枝は無毛、皮目が散生する。 |
中央公園の個体の樹皮 | 中央公園の個体の樹皮 | |
冬芽 紫褐色。 |
丸いものが花芽 右上の細い芽は葉芽 西之内町 中央公園で 2009.1月 |
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冬芽をつけた枝 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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花芽は展開し始めたが葉芽はまだかたい 西之内町 中央公園で 2010.2.25 |
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葉芽 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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花芽 西之内町 中央公園で 2009.12月 |
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落葉前の冬芽 西之内町 中央公園で 2008.12月 |
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同属の仲間の樹木 オヒョウ アキニレ |
枝にコルク層が発達して翼状になる品種をコブニレという |
コブニレ 滋賀県甲賀市 信楽町で 2010.5月 |
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