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マユミ  真弓、檀

ニシキギ科ニシキギ属
学名:Euonymus sieboldianus   
花は集散花序につく 果実は赤く熟して4裂する
  属名のEuonymusは良い名前の意。種小名のsieboldianusは人名から。シーボルトは1823年オランダ商館の医員として来日したドイツの医学者、博物学者。日本の動植物を研究し「日本植物誌」などを著した。

  マユミの樹は枝がよくしなうので弓を作り、その弓は真弓と呼ばれたという。万葉集にはマユミを詠んだ歌が12首あるというが、果実の美しさが詠まれたのではなくいずれも弓との関連で詠まれているそうだ。平安時代からは紅葉の美しさが詠まれるようになったという。古い時代から庭に植えられたらしく、源氏物語「篝火の巻」、和泉式部日記第二十二段に庭木として登場する。
  材は色が白く緻密なので、多方面に利用される。新芽を山菜として食用にするというが、果実は有毒で口にしてはいけないという。吐き気や下痢をおこすとされる。

  マユミは植物図鑑によって雌雄異株とされたり雌雄同株とされたりすることに気がつき、少し調べてみた。
まず花のつくりに2つのタイプがある。 A:雌しべが長く、雄しべが短いタイプ と、 B:雄しべが長く、雌しべが短いタイプの違いが見られる。Aのタイプを雌花、Bのタイプを雄花と考えれば雌雄異株になる。雌雄同株とする考えは雌しべ、雄しべの長さの違いにより2つのタイプがあるとし、Bのタイプは結実しにくいとするようだ。詳しいことはわからないが、雌雄同株とするのが新しい考え方のようである。
  また、「不完全雌雄異株」 というはじめて見る用語に出会ったので紹介しておきたい。福岡教育大学福原先生のホームページに不完全雌雄異株の例のひとつにマユミが挙げられており、「雄花と雌花の形態の違いがあまり大きくないものでは、低頻度で雄花の結実が見られるものがある。」 と述べられている。あるブログで読んだ 「雄株で果実をつけないので伐採しようと考えているうちに、数年後に結実したので驚いた。」という話はこの例であろう。

  岸和田市では民家の庭で時折見かける。上野町西の畑地で樹高5mほどの成木を見るが、個人の所有地なので道路から観察するしかない。公園などの公共地ではまだ出会わない。


  雌雄同株。

クリックすると、写真と説明にジャンプします。

樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

樹形  落葉小高木。
ふつう高さ5m、大きいものでは10mになる。
樹形
樹高5mほど

上野町西で
2007.9月
樹形
冬の樹形

滋賀県伊吹山で
2006.11月
冬の樹形
果実をつけた枝

中井町で
2009.11月
果実をつけた枝
冬の枝

滋賀県伊吹山で
2006.11月
冬の枝
   環境  丘陵〜山地、公園樹、庭木
   雌雄同株。 花期:5〜6月    
新枝から集散花序を出し、淡緑色〜緑白色の小さな花を1〜7個つける。花は直径1cmほど、花弁、雄しべが4個ずつ。
雌花をつけた枝

中井町で
2009.5月
雌花をつけた枝
花序

5月
雌花序
花柱が長く雄しべは短いタイプ
子房は緑色の花盤に埋もれる

熊本県阿蘇町で
2012.6月
花
花柱は短く雄しべは長いタイプ
雄しべは緑色の花盤につく
         ( 画像 準備中 )        
下から見る花

5月
下から見る花
  対生。
葉身の長さは約10cm、楕円形で幅が広いものから狭いものまで変化が多い。質は紙質。先はとがり、ふちに細かい鋸歯がある。葉柄の長さは5〜20mm。両面とも細脈まで隆起する。
若い木の枝葉

石川県
羽咋町で
2014.10月
葉の表
濃緑色で無毛

雨にぬれた

岸城町で
2016.10月
波うつタイプの葉

裏面は淡緑色

石川県
羽咋町で
2014.10月
葉柄が枝につく部分

5月
葉柄が枝につく部分
鋸歯は細かい

5月
鋸歯
明るいほうに葉をかざすと細脈まではっきり見える

5月
葉の透視
果実   さく果。
直径1cmほどの倒三角形で、基部は狭まる。4心皮から成り、4稜(紙の折り目のような線状の隆起)がある。先はへこむ。10〜11月に淡紅色に熟し、4裂して4個の種子を出す。
色づく前の果実

岸城町で
2016.10月
果実

石川県
羽咋町で
2014.10月
果実

中井町で
2009.11月
果実
若い果実

長野県立科町で
2004.7月
若い果実
裂開前の果実
先はへこむ

12月
裂開する前の果実
裂開をはじめた果実
朱色の種子が出てきた

11月
裂開しはじめた果実
種子が出てきた

11月
裂開して種子が出てきた
上から見た果序

11月
上から見た果序
図鑑などには1個の果実に4個の種子が入るとあるがこの果実には種子が8個入っていた

1室に種子が2個入る
種子が8個入る果実
上の写真と同じ個体の果実だが種子は4個入る 種子が4個の果実

種子
長さ約6mmの卵状楕円形
朱色の仮種皮に
包まれる        
仮種皮は朱色
仮種皮を取り除いた種子
アズキに似ている
種子
仮種皮を取り除いた種子 種子
仮種皮を取り除いた種子

大きいほうは
長さ5mm
仮種皮を取り除いた種子
樹皮   灰褐色。老木ではたてに筋が入り、割れ目ができる。
新枝は緑色。
成木の樹皮
若い木 直径1cm  成木の樹皮  直径8cm   成木の樹皮  直径20cm
冬芽   頂芽は長さ約5mmの卵形。芽鱗は8〜12枚でふちに白い縁取りがある。側芽は頂芽より小さく対生する。
冬芽

石川県
羽咋町で
2014.10月
冬芽

石川県
羽咋町で
2014.10月
葉痕

石川県
羽咋町で
2014.10月
同属の仲間の樹木   
ニシキギ属のなかで落葉するものを下に挙げた
ニシキギ   サワダツ  ツリバナ  マサキ
コクテンギ
は九州以南に分布する

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