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イボタノキ

モクセイ科イボタノキ属
学名:Ligustrum obtusifolium
別名:イボタ、イボタン、カワネズモチ、
    トバシリ、トスベリ   
花は総状につき白い 葉は対生する、若い果実がみえる

 学名のLigustrumはイボタノキ属の1種につけられた古名から。種小名のobtusifoliumは葉の先が鈍頭の意。

  初夏のころに山にはいると白いちいさな花をたくさんつけた低木を見ることがある。葉は柔らかそうな浅い緑色で、イボタノキである。枝先に小さな丸い果実をつけるが、秋〜冬に黒くなる。落葉性だが、葉をつけたまま越年していることもある。

  イボタの名の由来だが、疣
(いぼ)をとるのに後述の蝋を溶かして使用したので、イボトリが転訛してイボタになったという説がある。
  樹皮についたカイガラムシの1種が蝋物質を分泌し、塊になったものをイボタ蝋という。イボタ蝋は融点が高いので夏でも溶けることがなく、現在でも製品化されている。戸のすべりをよくするために敷居に塗ったり、家具のつや出しに使ったりする。別名のトバシリ、トスベリはここからであろう。また、民間薬として強壮、止血に用いたという。

  材は堅いので印や杖に利用する。

  岸和田市の山地では道ばたや林縁でふつうに見ることができる。
  山に行かなくてもたまに町中で本種を見ることがある。イボタノキが庭木として植えられることはあまり考えられず、いつの間にか独りでに生えてきた場合が多い。そのわけは接ぎ木である。園芸店で売られているライラックの苗木は、早く花を咲かせるために接ぎ木されていて、その台に利用される台木はイボタノキであることが多い。ライラックの苗木を植えたけれど接ぎ穂のライラックは枯れてしまい、台木であったイボタノキが伸びてきたのである。その例を港緑町にある商業施設で見た。イズミヤの地下入口手前の緑地に2mを越えるイボタノキがある。まわりにライラックの木が数本植えられているので前述の例であろうと根元を覗くと、確かに枯れたライラックの細い幹が残っていた。このイボタノキは完全に落葉するようである。5月にたくさんの花を開く。


 雌雄同株。


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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

ライラックの台木から伸びたイボタノキ

樹形  落葉低木。
高さ4mになる。よく分枝してやぶのようになる。
樹形

大沢町シガ谷で
2007.6月
山に自生する樹形
花期の樹形
下枝は落とされているが上部は自然樹形に近い

港緑町にある商業施設の前で
2011.5月
花期の樹形
春の樹形
上の写真の木

港緑町で
2010.3月  
春の樹形
つぼみをつけた枝

和泉市父鬼町
鍋谷で
2007.6月
つぼみをつけた枝
若い果実をつけた枝

和泉市父鬼町
鍋谷で
2007.8月
若い果実をつけた枝
    環境    山野の林縁にふつう
 雌雄同株。 花期:5〜6月   
枝の先に長さ約3cmの総状花序をつける。花冠は白色で長さ約8mmの筒状ろうと形、先は4裂する。よい香りがある。萼に細毛がある。
満開の花
   ↑ 満開の時期には芳香がただよう     港緑町で  2011.5月
花をつけた枝

港緑町で
2009.5月
花をつけた枝
花序

港緑町で
2011.5月
花序
花序

港緑町で
2009.5月
花序
開花直前のつぼみ

和泉市父鬼町
鍋谷で
2007.6月
つぼみ
つぼみ

港緑町で
2009.5月
つぼみ
花序

港緑町で
2009.5月
花序
花冠

港緑町で
2009.5月
花冠
雌しべは1本で短い

雄しべは2本
葯が花筒から少し突き出る

大沢町シガ谷で
2011.6月
花
花冠は筒状でろうと形

港緑町で
2009.5月
花冠の形
花序の柄は毛が
多い

港緑町で
2009.5月
花序の柄は毛が多い
  対生。
葉身の長さは2〜7cmで、長楕円形。質はうすい。ふちは鋸歯がなく全縁で、先は鈍くとがるか丸い。葉柄はごく短い。
   左-葉表
   右-葉裏

   8月
左-葉表、右-葉裏
葉の表は無毛

和泉市父鬼町
鍋谷で
2007.8月
葉の表
葉の表
白いものは虫の排泄物だ

港緑町で
2013.5月
葉の表
この個体には葉先が少しとがるものと上写真のような葉先がまるいものが見られた

大沢町シガ谷で
2011.6月
葉先がとがる葉
葉の裏

港緑町で
2009.5月
葉の裏
裏面
油点のようなものが見えるがこれに触れた文献にはまだ出会えないのではっきりしたことはわからない

大沢町シガ谷で
2011.6月
裏面の基部
新葉の展開

和泉市父鬼町
鍋谷で
2008.4月
新葉
本来は落葉樹だが半常緑のような個体がある
前年の葉がのこっているところに新葉が展開してきた

和泉市父鬼町
鍋谷で
2008.4月
新旧の葉
新葉の展開
小さな花序がみえる

港緑町で
2007.3月
新葉
果実  核果様。
直径約5mmで、広楕円形〜球形。秋に紫黒色に熟す。
若い果実をつけた枝

和泉市
父鬼町鍋谷で
2007.8月
若い果実をつけた枝
若い果実
枝には細毛が多い

和泉市父鬼町
鍋谷で
2006.8月
若い果実
黒くなってきた果実

大沢町シガ谷で
2007.10月
熟してきた果実

   種子
果実と種子

果実の大きさ
5mm×6mm

12月 
果実と種子
種子の大きさ
3mm×5mm

12月
種子
樹皮  灰白色〜灰褐色。
丸い皮目がある。若い枝には細かい毛が多い。
幹にトゲが出ることが多い。
樹皮はまるい皮目が目立つ 幹にはトゲがあることが多い
   丸い皮目が目立つ  直径約1cm トゲのある樹皮  直径約5cm
冬芽   ごく小さい。
冬芽

港緑町で
2012.2月   
冬芽
頂芽
若い枝には毛が多い

港緑町で
2012.2月
頂芽
側芽

港緑町で
2012.2月
側芽
春になり芽が動きだした

和泉市父鬼町
鍋谷で
2008.3月
 
ライラックの台木から伸びたイボタノキ
イボタノキの株立ちのなかにライラックの枯れた幹が残る(矢印)

港緑町で
2010.3月
枯れたライラックの幹がみえる
根元
ライラックの台木だったイボタノキが伸びてきた

港緑町で
2010.3月
伸びてきたイボタノキの根元
同属の仲間の樹木             
ネズミモチ    トウネズミモチ    コミノネズミモチ
ミヤマイボタ   オオバイボタ     ヤナギイボタ  

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