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イチイガシ   一位樫

ブナ科コナラ属
学名:Quercus gilva
別名:イチイ、イチガシ、ロガシ   
葉の裏には星状毛が密生する
  属名のQuercusはナラの木を指す。種小名のgilvaは赤味がかった黄色の意。

  図鑑でしか見たことがなかったイチイガシにはじめて出会ったのは、和歌山市鳴神社にナギの保存樹を見に行った時のことである。鳴神社のナギを見たあと、神社の前に大きな独立樹があることに気づき観察すると葉裏に毛が密生しており、これは図鑑で見るイチイガシではないかと思い当たった。たまたま通りかかった地元の初老の男性に木の名前を尋ねたが、ご存じではなかった。うまい具合に拾えたどんぐりを持ち帰り、調べるとやはりイチイガシであった。
  神社境内のナギと同様にこのイチイガシも保存樹に指定すべきだと思ったが、それほどりっぱなイチイガシであった。
  ちなみに、この鳴神社の境内にはヒメユズリハホルトノキなどの大木がみられ、神社林としてよく保存されてきたことがうかがえる。

  その後、岸和田市にも内畑町山直神社にイチイガシの成木2本があることを知り、2009年2月に観察に出かけた。
  ツブラジイの大木に囲まれ上へ上へと成長したその樹は枝が高所にしかなくふだんだと葉を間近に見ることはできないが、2日前に吹き荒れた強風のおかげで落ちていた枝、葉を拾うことができた。たくさんの果実をつけるらしくどんぐりを一面に敷いていた。
  余談だが、その時境内のツガの大木の下で見慣れない小さな果実を拾った。真冬に緑の実とは、と首をひねったが、自分で調べてもわからず
「このきなんのき掲示板」で尋ねてマツグミ(ヤドリギ科)と判明した。未見のマツグミに出会えたのも強風がもたらした恩恵であった。

  イチイガシは縄文の昔から人に役立った樹である。果実はあく抜きをせずに食べることができ、縄文遺跡からもよく出土するそうだ。また遺跡から出土する道具の柄はイチイガシのものが多いという。

  材は強靱なため以前は舟の櫓に用いたという。別名のロガシはここからの名である。


  雌雄同株。

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樹形 環境 果実 樹皮 冬芽 仲間の樹木

樹形  常緑高木。高さ30m、直径1.5mぼどになる。
樹形

内畑町
山直神社で
2009.2月
樹形
上の樹の幹

内畑町
山直神社で
2009.2月
幹のようす
独立樹の樹形

和歌山市鳴
鳴神社で
2008.1月
独立樹
枝葉

和歌山市鳴
鳴神社で
2009.7月
      
枝葉
枝葉

奈良市
奈良公園で
2009.3月
枝葉
   環境  暖地の山中、社寺林
   雌雄同株。 花期:4〜5月        
雌花序は新枝の上部に直立し、数個の雌花をつける。雄花序は新枝の下部から長さ約10cmの花序をたらす。雄花序の軸には褐色の星状毛が密生する。 
    雌花

    花柱は3個
   
      ( 画像 準備中 )
    雄花

    雄しべは7〜10本
      ( 画像 準備中 )
  互生。
葉身の長さは約10cmで倒披針形〜広倒披針形。革質。
先は鋭くとがり、上半部に鋭い鋸歯がある。葉柄の長さは1cm余。
 標準的な葉

枝葉
 幅が広い葉
幅が広い葉
葉の表

濃緑色で光沢がある
はじめ黄褐色の星状毛が密生しやがて無毛
葉脈はくぼむ
葉の表

葉の裏

黄褐色の星状毛が密生し落葉後ものこる
葉脈は突出する
葉の裏
 表面の鋸歯 鋸歯
 裏面の鋸歯
鋸歯
裏面の星状毛
葉裏の星状毛
若い枝、葉柄も星状毛が密生する 星状毛が密生する
果実  堅果(どんぐり)。      
直径約1cmの卵円形〜楕円形でその年の秋に褐色に熟す。
若い果実をつけた枝

和歌山市鳴
鳴神社で
2009.7月
若い果実をつけた枝
若い果実

和歌山市鳴
鳴神社で
2009.7月
若い果実
強風で落ちた若い果実

内畑町
山直神社で
2009.10月
若い果実
殻斗がついたまま落ちたどんぐり どんぐり
どんぐりの先には白い毛が多い どんぐり
どんぐりの先

段があり突出する
どんぐりの先に段がある
殻斗(総苞)は杯状で6〜7個の環があり星状毛が密生する
下部の環は浅くさける
殻斗(総苞)
樹皮       
灰黒褐色、皮目が多い。不規則な薄片となってはがれる。
若い枝は星状毛を密生し、数年で毛が落ち丸い皮目があらわれる。
樹皮 樹皮
  内畑町山直神社の個体    和歌山市鳴神社前の個体
  まだ裂けない樹皮
若い枝は星状毛を密生する

奈良県
橿原神宮で
2017.1月
冬芽  長楕円形で鈍頭。
 冬芽

  1月
冬芽
冬芽

奈良県
橿原神宮で
2017.1月
同属の仲間の樹木     ドングリの殻斗に同心円状の環がある仲間(アカガシ亜属)を下に挙げた
アカガシ  ツクバネガシ  アラカシ  シラカシ  ウラジロガシ

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